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「姉を殺すって……」
その言葉に、ガーネットも息を詰まらせたみたいな反応をしていた。
マリアが肉親ならば、俺がジャネットに初めて抱いた時の印象は間違っていなかっことになる。
世界の王補佐を殺す……。
その一言は、予想以上に俺も混乱した。
マリアは、シンデレラクエストの時に出会った採点野郎だ……。
自分の心の中にいる人物を見せることができるとかで、初めは“はるか”の姿をしていたんだ。
桁外れに強かった化物。
まるで、魔法使いのように次々と能力を発動させて、最後にはドラゴンの群れを引き連れてどこかへ行ったんだ。
あんな奴と……。
「自分のお姉さんなのに、どうして殺すんですか?」
ガーネットの言葉に、ジャネットは首を横に振った。
「その理由は話すと長い。しかも、めんどうだ」
ジャネットは踵を返して、宿舎の方へ足を進め始めた。
その背中からは、どこか哀愁が漂っている気がする。
始めは不気味に感じていたが、ジャネットもやはり人間であることには間違いないのだ。
あのマリアも……。
数日後、俺たちは予定通り、子供が自由に暮らす国へ行く港へ足を運んだ。
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