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間を空けずに、ブラックロックと称した岩がどかされる。
起き上がった敵は、未だほとんど無傷でした。
さすがに、レベル3万の力を持っているだけはありますね。
体の防御力は、それに見合った力を持っています。
「……恋……人……心……絶対」
起き上がった敵は、ぶつぶつと何かを呟いています。
聞かないようにしましょう。
何故なら敵の戦う理由を知ったところで、自分の得になることは何一つありませんからね。
余計な私情を挟むことほど、戦闘において命取りなことはありません。
私は瞬間移動を使用し、再び敵から距離をとった。
「……負けな……恋……取り……戻……」
人の心を……。
手に入れたい気持ちは、他のプレイヤーさんと同じですからね。
駄目だ。これ以上は、聞かないようにしないと。
敵の体は、大きく変形し始める。
それは露にした怒りを、そのまま表面に現したかのような感じでした。
全身が黒く染まり、背中から生えた黒い羽。
優しさを一切感じさせない漆黒の表情。
これは、悪魔の姿を模したようですね。
「グゴゴゴ」
発せられた言葉からは、もはや感情が残されていないようでした。
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