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目の前に広がる光景は、予想だにしていなかったものだった。
「あれは……」
その光景と結びつけるのは、かぐや姫クエストでの与作との山登り。
あの時の全ての思い出が、頭の中で蘇り始める。
あの日は、強い雨が降っていた。
忘れもしない仁、美沙、はるかと登ったあの思い出。
かぐや姫と結婚したい与作の願いを叶えようと、蓬莱の玉の枝を手に入れるために皆で山に登ったんだ。
「そうだ……」
その事に気がついた瞬間、全身に寒気が走った。
何故、初めからその思い出を忘れていたんだろう。
どうして畏れを感じたのか理由は明白ではないが、それは間違いなかった。
この山は……。
かぐや姫クエストに出てきた山と酷似している。
この山の方が遥かに大きいが、形はほとんど同じだ。
それどころか……。
右に視線をやると、その先には与作が教えてくれた抜け道が隠されている岩が立っている。
配置もほとんど変わらず……。
変わったのは大きさだけ。
『どういうことなんだろうな。似たフィールドを意図して作ったってことは間違いなさそうだが……』
俺の視界に映し出された光景は、ただっ広い平面。
一見、山頂と思わせる光景。
ただ……。
その中央には、断崖絶壁という言葉がふさわしい地面から垂直に伸びた山が立っていた。
「もしかして……。あれが希望の丘……?」
ガーネットは小さく呟いた。
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