421人が本棚に入れています
本棚に追加
/33ページ
ゴツゴツとした縦長の機械であり、硝子が張られている。
まるで、棺を立てたような形をしていた。
ガラスの向こう側に人影のようなものが見える。
黒い穴の奥に見える棺の形をした機械。
その棺の中に人。
何だ。心がざわっとした。
「そう。これが真実」
歪んでいた穴が安定し、向こう側の光景がはっきりと見えるようになる。
機械の中央部に張られた縦型の硝子の中には、やはり人が入っていた。
その顔を見た瞬間、時が止まったように全てが遠くなった気がした。
「あ、ああ……」
俺は、その場の事を何も考えずに動揺した。
あ、あれは……。
見間違うはずがない……。
同時に、ミケランジェロがはるかの能力を持っていた理由が、何となく悟ることができた。
「そう。欲しい能力は全て手に入れる。だから、僕は彼女から治癒の能力を頂戴した」
そのショートカットの髪は、懐かしさをじわりと思い出させることになる。
見間違うはずがない。
硝子の向こう側には、無数の管に繋がれたはるかが眠っていた。
ただ静かに……。
何故、ミケランジェロが……。
「は、はるか?」
俺はその穴に向かって小さく呼び掛けた。
生きているのか……?
最初のコメントを投稿しよう!