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「死んでいるよ」
微かな期待はすぐに否定される。
ミケランジェロは、無数の管に繋がれたはるかを眺めながら口を開いた。
「このナイフを死体に刺すとね、生前に使っていた能力をそのまま貰うことができるんだ。うん。うん。そして、ナイフで刺した死体をこの機械に入れると、そいつの能力は僕の体内に埋め込んだチップが受信機の役割を果たして使えるようになるんだよ。死体を入れてある機械は送信機みたいなもの。あまりに複雑だからこれ以上の説明は省くけど……。さて、ここからが本題」
一息ついて、ミケランジェロは饒舌に喋り続ける。
「僕が作り出した玩具の仲間にこの子がいてね。たまたまこの子が非常に優れた治癒系の能力を持っていたことを知った。僕はその能力が欲しくなり、手に入れるために玩具を使って、この子を殺させたんだ」
「玩具?」
俺の問いにミケランジェロは頷く。
「そう。玩具。玩具と言っても人間だよ。ちょっと僕の言うことを聞く奴隷に改造して、愛情を歪ませるようにしたんだけど。ほら、好きな子には照れて冷たくしちゃうっていうよくある小学生の心理現象を過激化させたような感じだよ。君もよく知ってるでしょ? 蒼井ユキヤ」
淡々と話されるその内容に、俺はただただ愕然とした。
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