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ミケランジェロは迫り来る光刀の刃に対して、咄嗟に全身をゴースト化させた。
千載一遇と言っても過言ではないほどのチャンス。
「やっと俺に気づいたか」
光刀を振り下ろしながらも思わず呟く。
俺の顔を見たミケランジェロは、顔面蒼白になっていた。
以前に戦った時、光刀は闇との相性が非常に良いということが判明した。
一見、ゴースト化させた体には全く物理攻撃が効かないが、闇の属性は光に弱い。
ここまで容易く懐に潜り込めたのは、ミケランジェロが俺の存在に気がつかずに警戒していなかったからだ。
その瞬間、確かな手応えと共に、ミケランジェロの腕が宙に舞った。
ピノキオの襟首から自然と手が放れる。
俺はすかさずピノキオを抱えて、その場から離れた。
呼吸が激しく乱れている。
光刀を持つ手、そしてピノキオを抱える手はじっとりと汗ばんでいた。
や、やった……。
少し離れてから、ミケランジェロがいる方へ振り返る。
その場から立ち上がることなく、ミケランジェロは手に見に覚えのあるティーポットを持っていた。
あれは……はるかの能力だ……。
『何しているんだ! 走れ! 君の役目はピノキオを奪うことで終わりじゃない。希望の丘へ連れて行くことだろ!』
そうだ……。
「いやー、やられたよ……。渋谷和也くん……。君が居ることにすら気が付かなかったよ……。うん。うん。それにしても……この能力は便利だよね。はるかちゃんのティーポットは……」
ミケランジェロは顔を歪ませて、不気味に笑った。
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