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俺はすぐに、ミケランジェロが沈んだ辺りを狙って着地した。
覗き込んで確認するが、地の割れ目の中心地に奴の姿はない。
そうか。失敗した。
ゴーストボディを使って、土の中を移動しているのか……。
あの能力は幽体化させることが出来るから、こんな使い方もできるのか。
湧き上がる殺意とは別に、恐ろしいほど冷静な自分がいた。
『どうするんだ? 時間を稼がれたら、こっちの身がもたないぞ』
大丈夫。
俺は目を閉じて、張り巡らせた全身の神経に魂力を行き渡らせた。
耳で音を聴くように、全神経を集中させて辺りの様子を探る。
「…………」
いた……。
土の中を動く心力。
ゴーストボディを使用しているせいで、気配は消せても体内エネルギーが漏れている。
他に生物がいるはずがないおかげか、答えは考えなくても明らかだった。
今度は黒い光。
全身から放たれる黒い光を、右の手の平に掻き集める。
俺は魚を手で捕まえるように通過点を予測して移動すると、黒い光を纏った拳を握り締めて、地面を全力で殴りつけた。
地面は抉るように穴が開いて、大きな土の塊が散る。
地面の底には、ゴーストボディを使用したミケランジェロがいた。
ミケランジェロは、再び土の中に潜り込むため逃亡を謀ろうとする。
逃がさない……!
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