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いや、単なる俺の思い過ごしでジャネットならミケランジェロに勝てるかもしれない……。
間違いなく、この中で一番強いのだから。
そうだ。俺が信じなくて、どうするんだよ。
山に入り、急斜面になり始めた。
険しい山道。高い木などは生えていないため見通しはいいが、上の方は雲がかかっていてどれくらいの標高なのかは見当もつかない。
「お兄ちゃん。どこに行くのー?」
抱えているピノキオは、緊迫感も無く、呑気な口調で話す。
俺は必死に走りながら答えた。
「山の頂上。そこに行けば、ピノキオが人間になることができるんだ!」
「人間に? 僕が?」
ピノキオは不思議そうな顔をする。
「そう。太陽の照らす場所で女神様に人間にしてもらえるんだ。人間になるために頑張ってきたんだろ? 絶対にゼペットさんだって喜ぶ。ゼペットさん、いなくなったことですごい心配してたんだぞ」
ピノキオは少し間を置いてから答えた。
「うん。人間になれば、お父さんも喜ぶよね……」
それからしばらく静かになったと思ったら、ピノキオは声のトーンを落として話した。
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