人の心-2

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「お父さん、こんな僕に呆れて……。きっと僕を見捨てたんだろうなって考えてた……」 ピノキオの表情は人形だから歪むことはないが、声が詰まるような話し方だった。 「僕……帰ったら、お父さんをもっと大切にする……。僕を作ってくれたお父さんを……」 多分、ピノキオは……。 「人間になったら……。僕は泣きながらお父さんに抱きついて甘えるんだ」 泣きたいのだろう。 人形だから涙を流すことはありえない。 それがわかり、何だか心がきつく締められるような気がした。 ピノキオもそれを理解しているからこそ、今の言葉を口にしたんだ。 姿こそは人形かもしれないが、ピノキオの心は人間そのものに感じる。 「和也! 辛いだろ? 変わろうか?」 隣を走るマイケルが俺に気遣いながら、声をかけてくれた。 「まだ大丈夫です……!」 「無理するなよ! 少しスピードは落ちるかもしれないけど、ミニマイケルたちに運ばせることもできるから!」 正直、思ったよりも体力を消耗しそうな斜面だ。 凄まじい速さで登っているのにも関わらず、全く頂上に近づいた気がしない。 そんな中、マイケルが後ろを振り返り言った。 「追っ手がきたぞ」 そう言われてから後ろを振り返ると、ホワイトキングとブラッククイーンが俺たちの後を追うように山を登ってきていた。
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