424人が本棚に入れています
本棚に追加
「お父さん、こんな僕に呆れて……。きっと僕を見捨てたんだろうなって考えてた……」
ピノキオの表情は人形だから歪むことはないが、声が詰まるような話し方だった。
「僕……帰ったら、お父さんをもっと大切にする……。僕を作ってくれたお父さんを……」
多分、ピノキオは……。
「人間になったら……。僕は泣きながらお父さんに抱きついて甘えるんだ」
泣きたいのだろう。
人形だから涙を流すことはありえない。
それがわかり、何だか心がきつく締められるような気がした。
ピノキオもそれを理解しているからこそ、今の言葉を口にしたんだ。
姿こそは人形かもしれないが、ピノキオの心は人間そのものに感じる。
「和也! 辛いだろ? 変わろうか?」
隣を走るマイケルが俺に気遣いながら、声をかけてくれた。
「まだ大丈夫です……!」
「無理するなよ! 少しスピードは落ちるかもしれないけど、ミニマイケルたちに運ばせることもできるから!」
正直、思ったよりも体力を消耗しそうな斜面だ。
凄まじい速さで登っているのにも関わらず、全く頂上に近づいた気がしない。
そんな中、マイケルが後ろを振り返り言った。
「追っ手がきたぞ」
そう言われてから後ろを振り返ると、ホワイトキングとブラッククイーンが俺たちの後を追うように山を登ってきていた。
最初のコメントを投稿しよう!