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やはり逃げ切れない……。
敵は二体だ。人数ではこっちが有利。
三人なら勝てるかもしれない……。
ピノキオを希望の丘まで連れていけばクリアになるわけだから、なるべく戦闘は避けたいが、どう考えても逃げ切れる距離じゃない。
あと10数メートル走った先で止まって、戦闘の準備を整えて迎撃するしかないな。
そう思った矢先。
「しょうがない……」
俺よりも早く、マイケルが足を止めて振り返った。
その事に気が付くと同時に、俺とガーネットが足を止める。
「あー、何て言えばいいかわらかないけど、先に行ってくれ。ここは引き受けるから」
マイケルは俺たちに背中を見せて、手だけを上げた。
「ピノキオを山頂まで連れていけばクリアなんだろ? それまでは時間を稼ぐように頑張るから」
ブラッククイーンとホワイトキングが追いつき、マイケルと対峙した形で足を止めた。
「一人で戦うのは無茶です!」
ガーネットが珍しいくらいに大声で言うと、マイケルは変わらず背中を見せたまま答えた。
「大丈夫。一人じゃないから」
その途端、地面からはミニマイケルたちが姿を現し始める。
全部で10体。
「こっちは11人だ。任せておけ」
その言葉には妙な説得力があり、黙らせる力があった。
そして、俺とガーネットはマイケルに背中を見せて、再び山登りを始めた。
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