唐突な不穏

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「ほら。見てみろ」 手慣れた様子でバーナードさんはDIMを操作すると、俺に画面を見せてくれた。 画面には、ブラックアウト観光地特集と書かれた文字に、その下にはズラリとランキングが掲載されていた。 4位の位置には、確かに“夕日が浮かぶ海”と書かれている。 「画像は規制が厳しいからどこにも掲載されていないが、行ったことのある人の感想は沢山書いているから、後で見てみなさい。それより……」 車はVIP区域内の、バーナードさんの家に到着した。 「本題に入るが、人の心は“ある”のか?」 バーナードさんは、緊張すらしている雰囲気がこっちに伝わってきた。 俺が答える前に車から慌ただしく降りると、足早に家の玄関へ歩いていく。 そんな背中姿に向かって俺は答えた。 「ありますよ」 ピクリと反応して、一瞬だけ静止するバーナードさん。 「さあ、早く中へ入ろう」 振り返ることなく、バーナードさんは玄関の扉を開けると、家の中へ入っていった。 ずっと会いたかった人に会えるのは、どんな気分なんだろうか? バーナードさんは、亡くなった奥さんに会うために。 そのためだけに、ここまで頑張ってきたような気がする。 俺はポケットに入った人の心を握り締めながら、家の中へ入った。
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