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広い家の中だが、バーナードさんは足早に一つの部屋に入った。
カーテン以外には、特に装飾されていない殺風景な部屋。
家具と言えば、中央に一脚の椅子が置かれていて、その上には可愛らしいクマのヌイグルミが乗っている。
大きさは人間の上半身ほど。ヌイグルミの中では比較的、大きい方だろう。
それ以外は、何も置かれていない。
一見、寂しい雰囲気を漂わせているが、バーナードさんは妻と再会するために、あえて用意した部屋なんだということが伝わってきた。
俺はポケットから人の心を取り出して、バーナードさんに使用方法を説明した。
まず、人の心は俺以外は使うことができない。
次に、三度まで使えること。
「わかった。君が人の心を使えば妻をこのヌイグルミの中に甦らせられるってことだろ? 大丈夫だ。残りの二回は君が好きにすればいい。とにかく早く使ってくれ」
バーナードさんは待ちきれない様子で、ヌイグルミの前でそわそわしている。
「わかりました」
俺は、緊張しながらもヌイグルミの前に立った。
『本当に生き返るのだろうか?』
人の心を、ゆっくりとクマのヌイグルミの前へ運んでいく。
すると、人の心が輝き出した。
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