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「この島では、夕方の六時頃になると隠された一本の道が姿を現します」
「隠された道?」
思わず聞き返すと、男は俺の質問には答えることなく、にこやかな笑顔を浮かべながら話し続けた。
「正式には、その道を進んだ先が“夕陽が浮かぶ海”となっております」
「どんな場所なんですか?」
「それはプレイヤー様の目で確かめていただければ、お分かりになるかと思います」
「この島には、どれくらいの数のプレイヤーが滞在しているのですか?」
「他のプレイヤー様の情報は、お教えすることはできません」
それはそうか……。
優くんは、既に島に到着しているのだろうか?
美沙を返す……。
様々な疑問が頭の中を駆け巡り、冷静さを失い気持ちばかりが焦っていく。
『冷静になれよ。気持ちに余裕を見せないと、どんな勝負にだって勝てないぞ』
そうだ……。光刀の言う通り、焦ってもいいことは一つもない。
「プレイヤー様。ホテルへの宿泊はいかがなさいますか? 部屋をおさえることは、こちらでも可能ですが……」
「いえ。ありがとうございました」
俺は男の言葉を遮るような形で、砂浜に向かって歩き始めた。
時間までこの砂浜にいよう……。
俺は砂浜に腰かけた。
妙な胸騒ぎがする。
杞憂だといいんだけど。
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