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約束までは、まだたっぷりと時間がある。
俺は、これまでのことをゆっくりと考えることにした。
初めてブラックアウトをプレイした日。
あの日は、優くんに助けられたんだ。
それから仁と美沙が、俺を助けるためにブラックアウトを始めて……。
それから新撰組に行くことになって……。
はるかと再会して。
新撰組に入ることになって。
そんな時、はるかが死んで……。
メビウスの輪との戦争が始まったんだ……。
思えば、それらには全て優くんが携わっていたんだ。
メビウスの輪の戦争直後に、新撰組屯所が襲撃を受けて……。
優くんが裏切り者だったことが発覚したんだ。
あれだけ優しかった優くんは、どこに行ってしまったのだろう。
空に浮かぶ太陽が、段々と沈んでいく。
時間はまだまだあると思っていたのに、段々と陽が落ち始めている。
優くんは、何を想っているのだろう。
今、この場所に向かっているはずの優くんは、何を考えているのだろう。
もしかして、優くんは二重人格なんじゃないか?
そんなあり得ない考えが浮かんでしまうほど、これから迎える時間について思い詰めてしまう自分がいる……。
笑って話せるはずがない……。
「くそっ」
『気を抜くなよ。向こうは君を殺そうとしてやってくるかもしれないんだ』
打ち寄せる波は、何かの前触れとさえ思えた。
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