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優くんが俺を殺しにやってくる……。
光刀の言う通り、その覚悟はしなければならないだろう。
そうなれば……。
戦うしかない。
美沙のことだって、俺を誘き寄せるための嘘かもしれない。
だが、優くんが俺を殺して、何のメリットがある?
何故、俺なんかを殺す必要がある?
でも過去に、優くんが俺に殺意を向けたことは事実だ……。
『見てみろ』
気づけば、潮が引き、波が遠くなっていた。
そこでようやく気がついた。
隠された一本の道とは、そういうことなのか。
まだ水が少し残っているが、潮が引いたことにより、海の中に細い砂の道がうっすらと姿を現す。
それは砂浜から真っ直ぐ伸びていて、海を割るような一本道だった。
案内人が言っていた通りだ……。
おそらく、この砂の道を進んだ先が夕陽が浮かぶ海なのだろう。
DIMの画面を見ると、時刻は5時50分と表示されている。
あと10分……。
俺は腰を浮かして、波打ち際まで足を運ぶと、裸足になり、まだ水が残った砂の道をゆっくりと歩き始めた。
思ったよりも水が冷たい……。
先を見てみると、一直線に砂の道が続いている。
水が残っているため、海の上を歩いているような不思議な感覚だ。
観光地にも関わらず、他に人が来る気配はない。
俺は砂を辿り、真っ直ぐ歩いた。
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