495人が本棚に入れています
本棚に追加
勝算はある。見る限り、闇刀の属性は闇のはずだ。
闇ならば、ミケランジェロの時と同様に光に弱いはず。
いくらレベルが高いとはいえ、これから勝機はあるはずだ。
「 遅いよ」
構えようとした瞬間、俺の目の前で優くんは腰を落として刀を下に向けて構えていた。
声が遅れて聞こえてくるかのような錯覚。
「なっ」
慌てて一歩後ろへ退くと、下から真上へ突き上げられた刃が寸前のとこで目の前を通過した。
飛び散る黒い炎の火の粉。この炎……。普通じゃない。
俺は、さらに後ろへ退く。
突き上げた刀を引いて、優くんは再び構えた。
かに見えた。
「──!」
優君は、そのまま刀を槍の様に投げ放ってきた。
黒煙、黒炎を纏いながら、迫りくる漆黒の刀。
『左に三歩!』
光刀の指示に従い、俺はすぐさま左側へ足を運ばせた。
なるほど。左側に避ければ、右手に刀を持っているため、何かしらは対処できるってことか……。
真横を通り過ぎていく闇刀。
「和也くん。君の力はこんなものなのかい?」
全身に寒気が走った。
俺の左側には優くんが立っていた。
いつ動いたのかわからないが、それ以上に驚いたのは、俺が左側へ避けると予想していなければ、こんなことはできないはずだ。
優くんは軽く手をあげると、至近距離で炎を放った。
最初のコメントを投稿しよう!