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放たれたのは、闇に染まっていない通常の炎。
俺は咄嗟に、倒れる様な勢いで後方へ飛んだ。
光刀の白煙が、優君が放った炎を阻む。
それでも防ぎきれず、全身の所々に炎が触れた。
「うぁあ゛」
大きく飛んだため、砂浜から外れて、そのまま俺は浅瀬へ落ちた。
尻餅をついて、すぐに立ち上がろうと試みる。
しかし、その動きよりも遥かに早く優君は既に俺の目の前に立っていた。
冷たい眼差しで見下ろしている。
手には闇刀を持っていて、切っ先は俺に向けられていた。
辺りには黒煙と白煙が、混ざり合うかのように漂う。
速すぎる……。
ここで動けば、確実に隙を見せることになり、多分その時点で殺られる……。
動かなくても、結果は同じだけれども……。
「残念だよ。和也くん。まさか、本当にこの程度の実力だったなんて……」
あの優しかった優君は、どこに行ってしまったのだろう。
心のどこかで、そんなことを考えていて甘えがあるんじゃないだろうか?
戦うと決めたんだ。
俺はまだ何もしていない……。
駄目だ。本当に殺すつもりで戦わないと……。
俺は溜めていた命力を一気に光刀へ込めて、座った体勢から光刀を振り上げて、それを全力で優くんに放った。
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