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直撃した優くんの体は大きくのけ反る。
終の型でいくか?
いや……まだ早い。
俺は刃に大量の命力を込めて、斬りかかった。
のけ反りながらも優くんは左手を前に伸ばして、俺に手の平を見せる。
「闇炎」(あんえん)
優君の手の平からは、闇が混ざった黒い炎が放たれる。
既に斬りかかったため、今度は避けることができなかった。
まずい……!
俺は両腕をクロスさせて、少しでも身を防ごうと努力した。
熱気から伝わってくる確かな殺意。
「──っつぅ」
体に纏わせていたDesire Waterの水が全て弾き飛ばされた。
攻撃を止めることに成功した優君は、華麗に一回転させて体勢を整える。
炎によるダメージはほとんどないが、今のでDesire Waterは強制的に解除されてしまった……。
「和也くん。そろそろ遊びは終わりにしよう」
同時に優君が、俺とほぼ同じであろう技を解除する。
手には漆黒に染まった闇刀。
負けられない……。
負けるわけにはいかない。
視界が真っ赤になるような錯覚。
体が熱い。
俺の中に潜む、別の誰かの力が騒ぎ出した。
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