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赤い光は、自分の思うままに操れることができる。
優君は迫り来る赤い光を、闇刀で凪ぎ払った。
赤い光は弾き返される。
同時に優君は宙に跳ぶと、フライシューズのエンジンを入れて空へ逃れようとした。
俺は、体の底から湧いてくる力を赤い光に注ぎ込んだ。
赤い光は活力を取り戻し、上昇する優くんの後を追う。
この力が、おそらく魂力というやつなんだろう。
ミケランジェロとの戦いの時よりも、力の使い方がわかる気がする。
空を飛ぶ優君の動きが、止まっているかのように遅く感じた。
赤い視界を通して見た景色は、優君の体の中でどんな力が流れているかが鮮明にわかる。
闇刀を持つ優君の手。
そこには、異常な量の命力が流れている。
優君は距離を詰められた赤い光に対して、闇刀に黒い炎を灯して放った。
赤い光は空中で爆発し、優君は余裕を持ってその場所から逃れる。
動きは遅いと感じるのに、なかなか優君を捕らえることは難しそうだ。
まだまだいけるはず。
そう思い、黒い光を使おうとした瞬間。
今まで、動きが遅かったはずの優君の姿が消失した。
「──!」
気配を感じたのは、次の瞬間だった。
「君が追っていたのは偽りだ。残念だったね。和也くん」
後ろから凄まじい衝撃が走った。
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