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後頭部付近に広がる痛みは、何かの打撃による攻撃なのか。
ただ自分の意志とは反して、膝が折れて俺は地面に倒れた。
世界が遅く感じていた真っ赤に染まる視界は普通に戻り、急激に歪んでいく。
やられた……。
どれくらいのダメージを負ったのかすら、自分ではわからない。
ただぼんやりとした景色の中、初めと同じように見下ろす優くんの姿だけが視界に映し出される。
「……く……そ」
首は繋がっているよな?
それすらもわからない。
平伏す形で地面に倒れている自分が、これ以上にないほど情けない……。
優君はそんな姿を見ながら、闇刀を鞘に収めた。
戦いは終わったと言わんばかりの雰囲気。
手に力が入らない……。
光刀の感触がないことを考えると、落としたのかもしれない。
優君は、冷たい眼差しを向けながら口を開く。
「リミットタイムは身体能力を限界まで引き上げる高い力を持っているが、命そのものを削る必殺技だ。君の場合、その力の引き金になっているのは王の力も関係しているみたいだけどね」
俺を殺すのだろうか?
優君は屈んで俺を覗き込んできた。
「和也君。次は死神を殺した後に会おう。生きるには殺すしかないことがよくわかるはずだ」
そう言い残すと、踵を返して、空へ飛び立っていった。
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