大切-2

4/33
前へ
/33ページ
次へ
鎌を高く振り上げる死神。 異変が起こったのは、鎌を頂点まで上げた時だった。 バシュッ──っと奇妙な音が鳴ると同時に、死神の両手首があり得ない方向に曲がる。 何あれ……? ヒカルと死神がいる方向へ、ゆっくりと歩むシャルキー。 まだ何も仕掛けた様子はないのに、死神に起きた異変は明らかにシャルキーがやったものだ。 シャルキーは進藤美沙が得るはずだった能力以外にも、もう一つ強力な能力を持ち合わせている。 それは、アレクサンドロスのパーサーから盗んだ能力だ。 「やっぱり私も交ぜてもらってもいい?」 シャルキーは一度立ち止まってから、ヒカルがいる方向へ視線を向けてそう言った。 「邪魔すんなよって言っても、もう仕掛けてるじゃねえか」 ヒカルは神刀を一度降ろすと、死神に視線を戻した。 折れ曲がる死神の両手首。 手の平から離れた鎌は、死神の背後へ地響きを立てて落ちる。 「そうね。ごめんなさい」 シャルキーは片手を上げて、手の平を死神に向けた。 「見える。死神さんが地に伏せる姿が……」 直後、巨大な死神の体が宙に浮いて、まるで投げられでもしたかのようにふっ飛んだ。 シャルキーってこんなに強かったの? レベルは1万超えの警報だった。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

458人が本棚に入れています
本棚に追加