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逃げない。
それだけは曲げちゃいけない。
“その技はだいぶ体に負担をかけるみたいだな 無理をすれば命は長くないと見れる”
「黙れよ。どっちが強いと思ってんだ? すぐに決着をつけてやるぜ」
考え方を変えろ。
劣勢ではなく、優勢のはずだ。
そうだ。目の前にいる敵は仁の仇。
アルティメットブレイクならば、俺の方が上のはずだ。
魂力。全開。
体の奥底から魂力を呼び起こし、全身から放出する。
諦める前に、やれることをやってからにしろ。
『やめろ! これ以上は本当に死ぬぞ!』
絶対に負けちゃいけない。
王の力を呼び起こせ!
「──!」
消え失せるアルティメットブレイク。
風はやみ、大気は落ち着き、辺りは静寂に包まれる。
魂力が底をついた証だった。
「そんな……」
膝が折れて、俺は地面に手の平をついた。
いくら力を振り絞ろうとも、もう魂力は元々存在しなかったように空っぽだ。
“終わりだな”
死神は、指先に力を集めて光線を放つ構えをとる。
くそ くそ
まだ、
まだ、
まだ、
何かあるはずだ。
「諦めるな」
立ち上がれ。
「──!」
目の前に立つ人影。
その人物は、俺の前で大きく手を広げた。
「諦めない。私だって」
「あ……」
顔をあげると、その背中は意外な人物だった。
杏奈……。
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