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「仁! 仁なのか!?」
“ああ…… 聞こえるか?”
「聞こえてるよ!」
“ど……うやら 最悪の結果に なったみたいだな”
この声は、間違いなく仁のものだ。
“色々……と迷惑を……かけて悪かったな”
死神は両手で頭を押さえながら、もがき苦しみ続ける。
“今は死神を……何とか押さえて……いる 本当は自分でけじめを……つけたいが……どうやら無理そうだ”
「何言ってるんだよ……?」
“お前だってわかって……るだろ? 時間がない 死神を……押さえつけて……いられるのは僅かだ…… 光刀で死神を斬ってくれ”
ドクンっと心臓が高鳴った。
“俺は……死神の中でずっと夢を見ていた……多くの人間……が苦しむ姿……を 俺の手で……”
どうすることも出来ない状況。
そんな状況に緊張の糸が切れたのか、杏奈は地べたに落ちて子供のように泣き崩れた。
「ぅわあああぁあああん 」
こんな杏奈を見るのは……、俺も……“仁”も初めてだ。
“杏奈……悪かったな”
漂う沈黙。
“和也……早くしろ! 時間がない!”
「…………ぃ」
『和也?』
「…き………ぃ」
「和也くん?」
「…き……なぃ」
“かずや……”
「…きらめなぃ」
“早く斬れえよおお!”
「あきらめない!」
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