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─────古手川仁─────
弱いって何だろうか?
強いって何だろうか?
悪意が人を蝕み、その悪意は別の人間に対して強烈な攻撃を発揮し、そして弱者を蝕んでいく。
何もできない弱者は倒れ、悪意に蝕まれた人間はいつの日か腐りゆく。
これ以上にない悪循環。
人の心って、どの人間が想像しているよりも弱い。
そして、汚い。
嘘で人を陥れて、嘘で人を蹴落とし、嘘で人を壊していく。
悪意とは、人の心から生まれるものだ。
悪意を抱くと、人はその悪意を活かすために力を欲する。
それとは別に、力を欲する理由がそこにある。
守りたい存在だ。
人は大切な誰かを守る為に、その大切な誰かを守る為の力を求めるようになる。
俺は後者だ。
単純に、守りたかった。
その為に、力を手に入れるよう努力した。
別の存在に頼ってでも、力が欲しかった。
力を手に入れた先に待っていたのは……。
別の悪意だった。
別の悪意は、弱者である俺を蝕み、そして支配した。
結果的に、守るために欲した力は……。
守りたい人間を傷つけることに至った。
苦しい苦しい
もうこれ以上は、誰も傷つけたくない。
苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい
多くの人間を傷つけてしまった俺に……。
もう誰も待つ人間はいない。
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