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─────シンバ──────
渋谷和也の異常な状態。
俺たちの中では、アダムが一番驚いていた。
「おいおい。あいつ、あんな切り札を持っていたんですね。切り札の合図は知ってたけど、まさかアルティメットブレイクだったなんて……」
「うんー。すごいよねー。リミットタイムのその上に到達するなんて。あの時以来だねー」
リリルの言うあの時とは、俺たちの生前の王が戦った相手のことだ。
「さすがシンバさんー」
そう言いながら和也のことを見るリリルの瞳は、どこか輝いていた。
「まるで大気が、彼の味方をしているみたいだ。うん? さっきから黙っててどうしたんですかー?」
リリルは俺の方を見ながら訊いてきた。
「実はな……あれにはちょっと……いや、大きな問題がいくつかあるんだ」
「問題ー?」
「一つ。ちょっとだけ人格が変わっちまうんだよ。強くなる反動っていうかな。何でかは不明だが」
そう話していた矢先、渋谷和也からは信じがたい言葉が出た。
大鎌の刃を易々と受け止めた直後のこと。
「おいおい。冗談だろ? もっと本気を出してくれよ」
その言葉を聞いて、俺は手の平を顔に当てた。
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