空白の12時間

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拳は、ダメージを与えるには最も有効的な部位を全て貫いた。 イエスは体を大幅にふらつかせて膝を折る。 地に崩れることを許さずに、俺は胸ぐらを掴むと拳に魂力を込めた。 入り乱れる黒い光と赤い光。 「悪いな。これで終わりだ」 そのまま俺は拳を放ち、イエスの心臓を貫いた。 確かな手応え。一瞬の判断が勝利を導く。 「──!」 突然、左右から新たな影が姿を現す。 左と右の両方から攻められたことにより、判断に迷ったせいで体が一瞬だけ硬直した。 両脇からがっしりと体を掴まれる。 何が起きたのか把握すると同時に、困惑を隠せなかった。 左右から現れたのは、どちらもイエスだった。 分身の能力? 左右から現れて体を掴んできたイエスは、どちらも巨大な剣を手にしている。 その代わりに、片方は忍者の服を身に纏い、もう片方はサムライの格好をしている。 全身に寒気が走った。 あり得ない。 ただの分身能力ならば、そう珍しくはない。 驚愕した理由は、二人のレベルの高さだった。 DIMを使用しなくとも、それぐらいならば感覚的に測定することはできる。 どちらも6万超え。 分身の能力じゃない?
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