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拳は、ダメージを与えるには最も有効的な部位を全て貫いた。
イエスは体を大幅にふらつかせて膝を折る。
地に崩れることを許さずに、俺は胸ぐらを掴むと拳に魂力を込めた。
入り乱れる黒い光と赤い光。
「悪いな。これで終わりだ」
そのまま俺は拳を放ち、イエスの心臓を貫いた。
確かな手応え。一瞬の判断が勝利を導く。
「──!」
突然、左右から新たな影が姿を現す。
左と右の両方から攻められたことにより、判断に迷ったせいで体が一瞬だけ硬直した。
両脇からがっしりと体を掴まれる。
何が起きたのか把握すると同時に、困惑を隠せなかった。
左右から現れたのは、どちらもイエスだった。
分身の能力?
左右から現れて体を掴んできたイエスは、どちらも巨大な剣を手にしている。
その代わりに、片方は忍者の服を身に纏い、もう片方はサムライの格好をしている。
全身に寒気が走った。
あり得ない。
ただの分身能力ならば、そう珍しくはない。
驚愕した理由は、二人のレベルの高さだった。
DIMを使用しなくとも、それぐらいならば感覚的に測定することはできる。
どちらも6万超え。
分身の能力じゃない?
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