空白の12時間

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分身の能力は、基本的に自分の力を分散させて作るはずだ。 そう、自分の力を分け与えて作ってこそが分身だからだ。 従って個の力を、そのまま作り出すことは不可能だ。 この左右のイエスたちは、どちらもレベルが6万を超えている。 分散させたとしたなら、合わせて12万。 「──!」 目の前に、突然また別のイエスが姿を現す。 どこから現れたのかは、全くわからなかった。 つい1秒前までは間違いなく存在しなかった。 いや、どこからかじゃない。 “突然”現れたんだ。 次に現れたイエスは、白衣のような服を身に纏い、医者のような格好をしていた。 こいつも……レベル6万? 三体全部を合わせると18万……。 こんなことは絶対にありえない。 個のレベルが18万以上なんて。 何かしら幻術やまやかしにちがいない。 「禁断能力……」 目の前に立つ医者の格好をしたイエスが、その一言を呟いた。 「禁断能力?」 思わず復唱してしまった後、イエスは頷きながらこう言った。 「例えば、ゲームならば運営側にとって圧倒的に有利なシステムが存在してもおかしくないと思わないか? まあ、ちょっと違うけどな」 そう言いながら、医者の格好をしたイエスは懐から様々な器具を取り出し始めた。
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