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「あんたは、その結末を見ることなく、この場で朽ち果てていくんだ」
イエスは、俺の目の前まで来ると巨大な剣を振り上げた。
剣には、夥しい量の魂力が密集する。
その魂力の強さは、俺が全力を出した時の二倍はあった。
「…………」
駄目だな……。
初めて心の中で、負けという言葉が浮かんだ。
こいつには勝てないって思うとかじゃなく、俺はここで死ぬんだと確信した。
ここが俺の終着点。
そう認めてしまったんだ。
その時点で、負けは確定だ。
全身の力が一気に抜けていく。
「世界が変わる瞬間は、もう変わることはないのか……?」
イエスは俺の言葉に首を傾げた。
「間違っている……。お前らのやり方は絶対に間違っている。そう思うからこそ、俺は戦ってきたんだ」
そう……あの日からずっと。
「“世界が変わる瞬間”計画変更を願う」
イエスは静かに首を横に振ってこう答えた。
「あんたは、この先の世界を知らなくていい。誠実なシンバ。最後に個人的な願いがあるなら聞こう」
これが最後か……。
リリル、アダム……すまねえな。
最後は意外とあっけねえな。
「願わくは……」
和也……。
あいつ、大丈夫かな。
「願わくは、俺の遺体はレッドキングダムの正門前に置いて欲しい」
「わかった。その願いは叶えよう」
その直後、イエスの剣が静かに振り下ろされた。
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