空白の12時間

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目の前に閃光が走り抜けると同時に、真っ赤に染まる視界。 全身の力が一気に抜けて、俺は地面に崩れ落ちた。 どこからか溢れる大量の温かい液体のせいか、地面が暖かい気がする。 その瞬間、空気や音や質感の全てが遠退いた気がした。 これが死か……。 やり残したことが多いせいか、意外と寂しいな。 不思議なものだ。 世界には自分しか存在しないのではないかと、孤独感が強まる。 駄目だなあ。 レッドキングダムは、リリルに任せておけば大丈夫だろう。 なあ。アンネ……。 レッドキングダムの子供たちは、お前に任せておけば大丈夫だよな? 何だか。他のみんなに全てを投げっぱなしにしたような気分だ。 …………。 終末の木。 俺たちは、それを止めることだけを目標に動いてきた。 あの木の存在こそが、世界が変わる瞬間。 ブラックアウトの存在意義……。 ずっと鍵を探していたんだ。 「──!」 そうか……。やっと謎が解けた。 俺が和也に期待した理由が。 神刀。 黒田研究員は、終末の木を作りたかったわけじゃねえ。 段々と意識が薄れていく。 リリル、アダム。 そのことに早く気がつけ……。 そのことに気がつけば……運営委員会は倒せる。 俺はそう願いながら意識を手放した。
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