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─────沖田総司─────
いよいよか……。
メインストーリーの終着点。僕はキョウカを見上げながら、感慨深い気持ちとなっていた。
唸るように響き渡るキョウカの機械音。
湖の中央に構えられたその木は、命の誕生を連想させるほど強いエネルギーを放っている。
エネルギーに触れた時、この音を聞いた時、心を安らげてくれる。
僕は水辺に立ちながら、あの若木がここまで成長したことに感動さえしていたんだ。
「作戦は順調か?」
背後からかけられる声。
よく知ったその声に、僕は警戒心を抱くことなく振り返った。
疲れ果てたその表情は、この計画を望んでいないことは明らかだ。
「ええ。黒田さん。運営委員会も最後の調整段階に入りました」
「そうか……」
僕の言葉に、黒田さんは少し表情を緩ませる。
「世界の王補佐交代事件に、お前が絡んだらしいな」
「ええ。おかげさまで、今は色々とやりやすくなりましたよ。キョウカを間近で見ることも可能になりましたし」
黒田さんは、表情を曇らせる。
その表情には、悲しみが隠されている気がした。
「本当に、あの計画を実行するつもりなのか?」
次に不安を浮かべた顔。
本当に黒田さんはわかりやすいな。
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