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─────シンバ──────
「死神を倒す鍵を握っていたのは、やっぱり彼だったんですねー」
リリルは、強烈な輝きを放つ和也を見ながら楽しげにそう言った。
光刀から放たれるエネルギーは、今までに感じたことがない不思議な部類だ。
アルティメットブレイクとはまた別の力に到達するなんて。
そこは完全に予想外だった。
「死神との戦いは楽しかったのになー」
今度は残念そうに呟くリリル。
渋谷和也……光刀の使い手。
試作品である光刀が、今までに存在しなかったはずの新たな力を生み出す。
そんなことが可能なのか?
死神の力に蝕まれたはずの、仁の救出成功。
これは運営委員会側にとっても、大きな誤算だったはずだ。
「──!」
遥か前方から、得体の知れぬ強烈な殺気が和也に向けて放たれた。
予想通り。来たな……。
「シンバさん……」
アダムを見ると、俺の方を見ながら切なさに埋もれた何とも言えない表情をしている。
「やっぱり俺も行きます」
「いいって。おめえらがここを離れたら、レッドキングダムは誰が守るんだよ」
「でも……」
「大丈夫だ。俺は負けねえ」
俺はそう言って、正門から降り立った。
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