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「もちろん。僕らの何世代も前からこうなるべきだと兆しはあった。何十年もかけて緻密に練られてきた計画がここまで来て……」
僕は無理やり笑った。
「はい、やめましょう。何てあると思います?」
黒田さんは、また悲しそうな顔をした。
その悲しみが、計画実行に対してなのか、それとも僕の言動に対してなのかはわからない……。
ただ……この人が悲しい顔をしていると、心が痛む。
しばらくの沈黙が続いた後、黒田さんが重々しい雰囲気で口を開いた。
「私は静かに見守るよ……。この世界がどうなるのかを……。ただこれだけは言わせてくれ」
「なんですか?」
「当初は私も計画には賛成だった。だからこそ、協力してきた。だが、いつの日か、それが間違いであることに気がついたんだ」
僕は黒田さんの話を聞きながら、キョウカに視線を戻した。
機械で作られた大木。
それがキョウカだ。
ブラックアウトの死んだプレイヤーの全てが集まる場所。
それがブラックアウトが存在する理由。
「また一人、新たな魂が届きましたね」
僕は静かに呟いた。
流れ星のように落ちて、大木の中心に届けられる光。
あれは……レッドキングダムのシンバか……。
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