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シンバの魂を蓄えたキョウカは、さらに強い唸り声をあげる。
「強い魂が加わると、キョウカは喜んでいるように見えますね」
黒田さんは僕の隣に立ち、キョウカを見上げながら首を横に振った。
「それは間違いだ。そのはずがない」
悲しげな瞳を浮かべる黒田さんの視線は、キョウカの幹に向けられている。
「ご自分の姪がキョウカだからですか?」
僕の質問に黒田さんは答えなかった。
「黒田さん。あれは、確かに貴方の姪が核となっていますが、意志を持っているのはあくまでキョウカの方だ。キョウカは人間じゃありません。機械だ」
「その通りだな……。もし京香に意志があるなら、キョウカの働きを止めるはずだ」
そうであると願いたい。
これが黒田さんの気持ちだろう。
キョウカの中央に取り込まれた一人の人間。
その人物こそが、キョウカの核となって機械が働いている。
人間を動力に使う初の兵器。
動力に選ばれた人間の名は櫻井京香。
その人間から名付けられたのがキョウカなんだ。
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