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赤い線は、世界地図の端まで辿り着いた。
それでも書き終える気配はなく、ついには紙の端まで線は続いた。
「ここからさらに真っ直ぐ行くと……」
リリルさんには、いつもの穏やさはなく、気迫ある雰囲気を醸し出している。
「暗黒の海が待っている。その先にはクエストがある島々。そこまでは知ってるよねー?」
仁が一度頷くと、すぐに答えた。
「ブラックアウトは全て一つの世界で出来ているって話ですよね」
「そうだよー。この位置から真っ直ぐ行って、暗黒の海を越えた先に、一つの島がある」
リリルさんは、別の紙を取り出して机の上に置くとこう続けた。
「マリア・ジャネットが本拠地としている特別な島。クエストボックスからは決して辿り着けない、特別な場所だよー」
淡々と説明するリリルさんに、美沙が顔をひきつらせながら言った。
「そこに行って、あたしたちは何をすればいいんですか?」
「ある物を盗み出してほしい。間違いなく、ここにあるはずなんだ」
すかさず杏奈が質問をする。
「何を盗んでくればいいんですか?」
「君たちをサポートする人間を雇ったから、その者から説明を聞いてー。もうレッドキングダムの正門前で待ってるよー」
リリルさんはそう言って微笑んだ。
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