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リリルさんについていき、正門前に移動する。
そこを通り抜けると、荒野に立った二つの人影が視界に入ってきた。
「あれが春夏のスケットだよー」
リリルさんが指差した先に立つ二人の人物。
はっきりと二人の姿がわかった時、俺は驚きを隠せなかった。
一人は、黒色の長いロングコートに、顔が見えるか見えないがぎりぎりのところまで深くまで被った帽子。
「ジャネット……」
そうだ。ピノキオクエストでは仲間として戦ったのがジャネットだった。
相変わらずの禍々しい雰囲気。
そこに立っていたのは、紛れもなくあのジャネットだった。
「久しぶりだな」
特徴的な冷たい声。
針のように鋭いトゲトゲしい感じは、ジャネットが持つ独特の間合いだ。
「和也。知っているのか?」
仁の質問に俺は頷いた。
そうか。ジャネットのことは俺以外は知らないんだったな。
そして、ジャネットと一緒に立つもう一人の人物。
俺たちは、そっちに視線を集めた。
そっちは、全員がよく知った人だった。
「天草総長ー?」
美沙が茫然とした様子で、そう呟いた。
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