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この殺気には、さすがに和也も気がついたみたいだな。
当然だな。あいつの実力はもう半人前じゃねえ。
俺たちと同じ戦場に立つ、立派な戦士だ。
そのことは伝えてやるか……。
「ん?」
和也は、救出した仁を泣きながら喜んでいた。
やっぱり……半人前かな……。
「シンバさん!」
後ろから聞こえてくるリリルの声。
「待ってますから」
俺はあえて振り返らず、手だけ振っておいた。
足を進めて、和也たちに近づく。
こいつら……。喜ぶことに集中していて、俺の存在に気がついていねえ。
どんだけ気を抜いてんだ。
まあ……しょうがねえのか。
それがこいつらの弱点でもあるが、良いところでもあるからな。
「よくやったな」
そのまま俺は指示を出して、和也たちの前を通りすぎた。
本当によかった。
四人がまた元に戻って……。
美沙が記憶を取り戻したことは気になるが……。
戻ってきた時にでも話を聞くか。
俺は思わず頬を緩めた。
背後から聞こえてくる和也の声……。
そうだ。念のために、言っておくか。
俺がいなくなった時のために……。
一言で、俺は和也に大事なことを伝えた。
さて、行くか。
ちょっと戦場へ。
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