空白の12時間

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この殺気には、さすがに和也も気がついたみたいだな。 当然だな。あいつの実力はもう半人前じゃねえ。 俺たちと同じ戦場に立つ、立派な戦士だ。 そのことは伝えてやるか……。 「ん?」 和也は、救出した仁を泣きながら喜んでいた。 やっぱり……半人前かな……。 「シンバさん!」 後ろから聞こえてくるリリルの声。 「待ってますから」 俺はあえて振り返らず、手だけ振っておいた。 足を進めて、和也たちに近づく。 こいつら……。喜ぶことに集中していて、俺の存在に気がついていねえ。 どんだけ気を抜いてんだ。 まあ……しょうがねえのか。 それがこいつらの弱点でもあるが、良いところでもあるからな。 「よくやったな」 そのまま俺は指示を出して、和也たちの前を通りすぎた。 本当によかった。 四人がまた元に戻って……。 美沙が記憶を取り戻したことは気になるが……。 戻ってきた時にでも話を聞くか。 俺は思わず頬を緩めた。 背後から聞こえてくる和也の声……。 そうだ。念のために、言っておくか。 俺がいなくなった時のために……。 一言で、俺は和也に大事なことを伝えた。 さて、行くか。 ちょっと戦場へ。
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