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2時間後、俺たちは船に乗っていた。
天草総長が手配してくれた豪華客船だ。
「いやー。簡単に話すと、私は運よく生き残れたんですよ。こうこうこうして、奇跡が起きてですね……」
仁と美沙と杏奈は、天草総長の話に真剣に耳を傾けている。
三人に話した内容は、ほとんどが嘘だった。
天草総長はわざと嘘をついて、優くんの話をしないようにしている。
美沙はその話を信じている様子だが、仁と杏奈は嘘だということに気づいている様子だった。
天草総長の目の部分に被せられている眼帯。
あれが全てを物語っていると言ってもいい。
だいたいの経緯の説明が終わると、今回のクエストのことについて話が始まる。
「何故、目的の場所まで総長の能力で行かないんですか?」
と質問をしたのは仁。
それに対して、天草総長はこう答えた。
「瞬間移動は距離が長いほど体内エネルギーを多く消費しますからね。なるべく近づいてからにしたいんです」
そんな話をしている中、ジャネットは思いふけるように甲板の手すりに寄りかかりながら流れ行く海を眺めていた。
その表情は、ピノキオクエストでは見れなかった切なさが交じってたような顔をしていた。
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