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それからしばらくして、話し合いが終わった後、俺は気になったことがあり、持ち歩いてる鞄の中からある物を探しだした。
鞄の中から取り出したのは、歪な形をした黒い色の鍵のような物。
これは、シンデレラクエストをクリアした際に、報酬品として手に入れた物だ。
まさか……。盗んでこいと言われたのは、この鍵のことじゃないよな?
仁は俺の行動に気がつき、そっと覗き込んでくる。
「やっぱりシンデレラクエストをクリアした時に手に入れた物は、黒い鍵だったよな」
仁は納得した様に頷く。
シンデレラクエストを管理していたのは、マリア・ジャネットだ。
そう考えると、この鍵が無関係だとは思えない。
「リリルさんが言ってるのは、この黒い鍵のことなのかな?」
俺の問いに、仁がいつもの考える仕草をしながら答えた。
「そればかりは何とも言えないな。結論を決めるには早すぎるから、もう少し様子を見た方がいいかもしれないな」
いつも慎重な仁に関心しながらも、俺が返事をしようとした時、光刀の声が心の中で響く。
『この船、狙われているぞ』
「──!」
その途端、船全体の空気が張り詰めた。
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