528人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
真っ先に気づいたジャネットが、甲板の先端の柵に立ち、能力を発動させた。
ピノキオクエストでも活躍した圧倒的に優れた調査能力。
「前方から大型の船が六隻」
まだ数百メートルは先だろうか。
いつの間にか大型の船が姿を現す。
この豪華客船と同じかそれ以上の大きさをした帆船。
空気が殺伐としたのは、あの船に乗っている誰かから殺気を放たれたからだ。
数百メートルも離れているにも関わらず感じ取れたのは、そいつの実力の高さを示している。
あの船におそらくは一人……。
とんでもなく強い奴が乗っている。
「どうやって姿を現したのでしょうか。さっきまではいませんでしたよね」
天草総長は、この中でたった一人、呑気にスナック菓子を食べながら船を眺めている。
「ああ。いなかったな。きっと能力だろう。全部で300人はいるぞ」
ジャネットは冷たい声で呟いた。
こんな状況でも、冷静に話している二人に驚かされる。
「このままだと、正面から衝突しますよ!」
六隻の船は、まるで行く手を阻むように、横一線上に並んで段々と迫ってきていた。
「うーん」
天草総長は、悩んでいると見せかけてアクビをした。
最初のコメントを投稿しよう!