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「おい。来るぞ」
ジャネットが振り向きながら言い放った時、信じられない光景が視界に映し出される。
六隻のうちの一隻。まるで、眠りから覚めるように起き上がる人の形をした巨大な機体。
あれは……。
人型駆動兵器!
あの機体は、レッドキングダムの戦争で見たアレクサンドロス。
確か、美沙を強奪したレオンが操縦していた機体だ。
レッドキングダムの王を倒した張本人。
美沙を見ると、無意識のうちに体を震わせている。
「大丈夫?」
杏奈が支えるが、美沙は何かを思い出すように体を震わせたままだ。
レオンが操縦しているであろう機体は、船の上に立つと飛び立とうとする構えをとった。
「戦うんですか!?」
仁が気迫ある振る舞いで、天草総長に訊いた。
しばらくの沈黙。
敵の船との距離がどんどん縮まっていく。
「和夫くん」
天草総長は、手の平で俺を招きながらそう言った。
すでに、名前の間違えを指摘する余裕すらない。
しかし、天草総長は平然とした顔つきでこう言った。
「その白い刀で、あの船に一発ぶちかましてください」
「え?」
「そしたら、瞬間移動ですぐに飛びましょう。いわゆる、“先手必勝、敵の攻撃はまた今度作戦”です」
冗談を言っている雰囲気はなかった。
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