528人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
和也が、殺気を放ってきた位置を特定できなかったのも無理はない。
何しろ、敵がいる位置は、オリンポスの頂上付近だからな。
奴はどこから来たか?
答えは簡単だ。
オリンポスの頂上。
つまり、頂上に設置されたメインストーリーの扉を抜けて、この辺りまで来たんだ。
オリンポスの頂上に設置された扉は、メインストーリーに直結しているからな。
メインストーリー側の世界から、通常のフィールドに移動してきた。
そんなことができるのは、プレイヤーじゃないことだけは確かだ。
運営委員会。
ここまでは概ね、死神戦の前にしていた予想通りだな。
だが、予想外だったのはその相手だ。
俺の勘が正しいとしたら、この感覚はおそらくアイツだろう。
常に喉仏を抉られるような独特の感覚。
俺は、あえて自分の位置を特定させるために、オリンポスに向かって殺気を放った。
「来い」
今ので気付いたとしたら、敵は俺を追ってくるはずだ。
挑発に乗る相手だろうからな。
売られた喧嘩は買うはずだ。
ほらな。
凄まじい勢いでオリンポスを降り始める敵。
俺は、ひたすら静かに足を進めていく。
誰もいない場所を目指して。
誘導に成功した俺は、誰もいない荒野で敵が到着するのを待った。
最初のコメントを投稿しよう!