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しばらく待つと、前方から目的の人影が姿を現す。
今のところ、まだ戦意は感じられない。
不意を突いてくるようなまねはしないってことだな。
そいつは、俺の元へ真っ直ぐ歩いてくる。
まず目に入ってきたのが、あの頃と変わらず背負った巨大な剣。
赤い髪色は、何となく好戦的な印象が残っている……。
やっぱりか。疑問は確信に変わる。
奴は、俺から数メートル離れた場所で足を止めた。
「レッドキングダムのシンバ」
DIMを取り出して画面を見ながら、奴は呟くようにそう言った。
奴に対して、俺は珍しく感情に苛立ちをしている
「王様はもういないんだよなあ」
敵は、少し切なそうな顔をしながら空に話しかけるように笑っていた。
俺は、数年前に起きたことを頭の中で連想した。
数年前、レッドキングダムをある男が訪れ、当時の王に喧嘩を売ったんだ。
あの時、壮絶な戦いがレッドキングダムの領土を荒らしたんだ。
その時の男が、今、目の前にいる。
奴の名前はイエス。
世界王補佐直属部隊のリーダーだ。
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