空白の12時間

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しばらく待つと、前方から目的の人影が姿を現す。 今のところ、まだ戦意は感じられない。 不意を突いてくるようなまねはしないってことだな。 そいつは、俺の元へ真っ直ぐ歩いてくる。 まず目に入ってきたのが、あの頃と変わらず背負った巨大な剣。 赤い髪色は、何となく好戦的な印象が残っている……。 やっぱりか。疑問は確信に変わる。 奴は、俺から数メートル離れた場所で足を止めた。 「レッドキングダムのシンバ」 DIMを取り出して画面を見ながら、奴は呟くようにそう言った。 奴に対して、俺は珍しく感情に苛立ちをしている 「王様はもういないんだよなあ」 敵は、少し切なそうな顔をしながら空に話しかけるように笑っていた。 俺は、数年前に起きたことを頭の中で連想した。 数年前、レッドキングダムをある男が訪れ、当時の王に喧嘩を売ったんだ。 あの時、壮絶な戦いがレッドキングダムの領土を荒らしたんだ。 その時の男が、今、目の前にいる。 奴の名前はイエス。 世界王補佐直属部隊のリーダーだ。
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