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何げ無く、俺はイエスに対して質問をしてみた。
「遊びに来たってわけじゃないよな?」
数年前と変わらず、陽気な雰囲気を纏うイエス。
この張り詰めた空気を楽しむかのように、奴は少し笑いながら答える。
「まさか。ここへ来たのは任務さ。わかってるだろ? あんただって」
俺は手の平で喉を押さえた。
喉仏を抉られるような独特の感覚は、奴を警戒しなければいけないことを意味している。
背中の巨大な剣で、そのまま首を切られることをイメージしてしまうからだ。
いつ切られてもおかしくはない。
剣の切っ先を常に与えられているかのような不快感に陥る。
「任務?」
聞き返してみたが、これも予想通りだ。
答えは、運営委員会の目論見に繋がる。
世界が変わる瞬間の前に、運営委員会は死神を使ってレッドキングダムを壊滅に追い込みたかった。
死神の力ならば、それも不可能じゃないと踏んでいた運営委員会だが、予想していたよりも、うまくいかなかった。
何しろ、領土に侵入させる前に、奴らの計画を崩したのが和也だからな。
そうなれば、運営委員会の本部が動くことは必然。
レッドキングダムを潰すために、奴らはイエスを差し向けてきたんだ。
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