528人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
「回りくどいぜ。俺の目論見はわかっているだろ?」
イエスは全てを見透かしたように、自信を持った顔つきでそう言い放ってきた。
「本当は死神がレッドキングダムを崩壊させるはずだった。その読みで正解だ。んで、その役割を俺が担うことになった。全く、和也の成長には驚かされたぜ」
「和也を知ってるのか!?」
「そら、知ってるぜ。奴は俺と同じ世界の王補佐のミケランジェロを沈めた男だ。まあ、知っている理由は、それだけじゃないんだけどな」
イエスは意味深に笑う。
「友の成長に嬉しさ半分。敵の成長に楽しさ半分だ」
あいつ……イエスに接触していたのか。
「さあて。シンバさん。そろそろ始めようか。観客はいないが、あんたが沈む目撃者は俺がなってやるよ」
そう言いながら、イエスは懐から何かを取り出した。
手の平に持って現れたのは、リンゴのように真っ赤な実。
イエスは、それを半分に割ると口の中へ放り込んだ。
そして、もう半分を俺に向かって軽く投げてきた。
放物線を描いた赤い実は、俺の手の平に落ちる。
「食えよ。エデンの実と名付けられた体力回復薬だ。それを食えば、魂力も回復するはずだ」
「敵の俺にいいのか?」
「やるなら全力でやらねえとな。つまらねえだろ?」
イエスは、ゲームでもするかのように楽しんでいた。
最初のコメントを投稿しよう!