空白の12時間

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赤い木の実をそっと口に運ぶ。 飲み込むと同時に、体の底に魂力が溜め込まれていくのを感じた。 あり得ない。体力だけじゃなく、命そのものをエネルギーにしている魂力を回復させることなんて……。 そうか……。 「命を使って作った木の実か」 「おっ。よくわかったな」 「死んだプレイヤーのエネルギーが、システムを利用してどこかに運ばれているってのは耳にしたことがある。エデンの実ってのはあの木の副産物か」 「読みが深いねえ。まあ、答えは想像に任せるぜ」 イエスは背中から、自身の体と同じほどの大きさをした大剣を引き抜いた。 刀身が異常なまでに太く、異常なまでに長い刃。 あの剣。見た目から察するに、攻撃力は相当高いはず。 俺は、警戒しながらも心力で全身を覆った。 「世界が変わる瞬間。言葉通り、俺たちブラックアウト運営委員会が世界を変えてやるぜ」 「先代の王の意志を引き継ぎ、俺たちはその計画を潰す」 奴が一歩踏み出した瞬間、その足を中心に風が吹き荒れる。 「──!」 「残念だったな。シンバ。あんたは、ここでゲームオーバーだ」 既に奴は目前まで距離を詰めてきていた。 俺は、その場を退かずに防御に徹した。
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