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警報は鳴らないか。
敵が斬撃を繰り出してくる中、俺は剣に纏っている体内エネルギーが何なのか観察した。
予想外の結果。
奴ほどの実力者なら魂力でくると思ったが、剣に纏った力は純粋な命力だった。
確かに、命力は攻撃に特化した体内エネルギーだが……。
一番疑問なのは、命力の量が表面を覆うほどしかないこと。
何を考えているんだ?
「──!」
しかし、体に剣が直撃した瞬間、さらに予想外のことが発生する。
巨大な鉛で殴られたかのような激しい衝撃。
横から押し潰されるように、凄まじい圧力が襲いかかってくる。
「くっ!」
自分の体を守っている心力は、一瞬にして砕かれた。
あんな極少量の命力で、こんな攻撃力はありえない……。
俺は衝撃に逆らわず、流すようにして剣を弾いた。
巨大な武器の基本的な弱点。
それは大振りだ。
剣を大きく振ったことにより生み出された隙。
防御に徹したのは、そのためだ。
敵と距離をとるのではなく、あえて攻撃を受けてから反撃を行う。
「あんた、やっぱりいいねえ。殺すにはおしいよ」
隙だらけのイエスから窺える気味の悪い余裕。
俺は拳に命力を込めた。
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