空白の12時間

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警報は鳴らないか。 敵が斬撃を繰り出してくる中、俺は剣に纏っている体内エネルギーが何なのか観察した。 予想外の結果。 奴ほどの実力者なら魂力でくると思ったが、剣に纏った力は純粋な命力だった。 確かに、命力は攻撃に特化した体内エネルギーだが……。 一番疑問なのは、命力の量が表面を覆うほどしかないこと。 何を考えているんだ? 「──!」 しかし、体に剣が直撃した瞬間、さらに予想外のことが発生する。 巨大な鉛で殴られたかのような激しい衝撃。 横から押し潰されるように、凄まじい圧力が襲いかかってくる。 「くっ!」 自分の体を守っている心力は、一瞬にして砕かれた。 あんな極少量の命力で、こんな攻撃力はありえない……。 俺は衝撃に逆らわず、流すようにして剣を弾いた。 巨大な武器の基本的な弱点。 それは大振りだ。 剣を大きく振ったことにより生み出された隙。 防御に徹したのは、そのためだ。 敵と距離をとるのではなく、あえて攻撃を受けてから反撃を行う。 「あんた、やっぱりいいねえ。殺すにはおしいよ」 隙だらけのイエスから窺える気味の悪い余裕。 俺は拳に命力を込めた。
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