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胴体をカッターナイフの刃で貫かれたマリアさんは、仰向けになりながら、ゆっくりと倒れていきます。
なるほど。世界の王補佐を語るだけの実力はあるようですね。
マリアさんの全身がたちまち燃え上がる。
カッターナイフで刺される瞬間、心力で自分の身代わりを作り出す能力を発動させました。
私が持つアメーバの能力と似ていますが、こっちの能力の方が精度は高い。
何故ならば、これが分身であるならば本体がどこかへ消えたんですから。
おそらく、最初に床の中から現れた時の能力を併せたのでしょう。
一体、どこへ。
私は、開眼の能力を使い、マリアさんがどこへ消えたのか探りました。
床の中にマリアさんの体内エネルギーは感じない……。
おかしいですね。
「────!」
右腕に覚える違和感。
私は自分の右腕に視線を下ろしました。
これは……。
右腕の手首辺りが、異常に膨れ上がり始める。
ボコボコと沸騰するように波を打つ右腕。
まずい……!
私は即座に、カッターナイフで自分の右腕を切り落としました。
切り口からは鮮血が噴き出した。
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