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闇の中に佇まう一枚の扉。
あれは……。どうやら他に扉らしき物が見当たらないことから、別の場所にはあそこから行くしかないらしい。
「ジャネットさんは、この建物の最深部にシステムがあると言ってた。行くしかないな」
仁がそう言うと、率先して歩き出す。
全員で扉の前まで来ると、俺は光刀を差し出して照らしながら観察をした。
だいぶ傷んだ古くさい木で作られた扉。
ノブが外れて取れかかっている。
なんだろう……。不思議な雰囲気を感じる。
それにしても……。
見上げると、穴が空いた箇所から差し込む光。
あの上では、天草総長とジャネットが、マリアと戦っているはずだ。
それなのに、全くと言っていいほど何も聞こえてこない。
いや……体内エネルギーも感じない。
まるでこの階に落ちた途端、さっきまでとは別の世界に来てしまったみたいだ。
「戦闘態勢は整えておけよ」
仁が全員を見渡しながら言うと、壊れたノブを無理矢理差し込んで回す。
すると、ノブはカチャッと心地の良い音を奏でた。
向こう側に何があるのか?
何が起きてもいいように、美沙がフードガンを扉に向けて構える。
それに習い、俺も光刀を握り締めた。
扉がゆっくりと開かれる。
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