四人の絆

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扉を開けた瞬間に放たれる目映い光。 俺は強い光に対して、思わず手で遮った。 何だ? だが、この光には悪意を感じない。 どうやら攻撃ではないみたいだ。 仁が臆せずに前へ進むと、俺たちもそれに続いた。 吸い込まれるような不思議な光。 しかし、扉の向こう側へ行った瞬間、光は無かったかのように消失した。 そして、また光が辺りを照らし出す。 今度は優しくて暖かい光。 これは太陽の日差しだ。 どういうことだ? 吹き付ける柔らかな風は、外にいることを察した。 屋内から外へ移動したのか? ゆっくりと辺りを見回すと、段々と景色が形成されていく。 視界に映る光景には、見覚えがあった。 「ここって……」 美沙が唖然とした顔つきで小さな声で呟いた。 広い公道の脇には、巨大なビル群が構えている。 本来は華やかなはずだが、ネオンの灯りだけを残した静かな町。 独特の不気味さがある。 ここは東京駅に近い場所だ。 日本に戻ってきたのか? そんな中、仁が真剣な顔をしながら口を開く。 「おかしいぞ」 「何がだ?」 俺は仁が向いている方向へ視線を向けた。 何がおかしいのかはすぐにわかる。 そこには、絶対にあるはずのないものが存在していた。
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