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この声は……優くんだ。
「間違っている? 何がだ?」
もう一人は、知らない声の持ち主だった。
誰だか確かめようとしても、これ以上、足を進めれば気付かれてしまうだろう。
優くんも実力的には相当な使い手だが、曲がり角の向こう側にいる人物はおそらく、それ以上。
これ以上は近づけない。
本能がそう語っていた。
「お前は何も間違っていねえよ」
やはり知らない声……。
「ですが……」
優くんは、しばらく間を置いた後、こう言った。
「長いこと新撰組に居すぎてしまったせいかもしれませんね。情が移ってしまったのかもしれません」
「まあ、その気持ちはわからねえでもないが、世界が変わる瞬間は絶対だ。計画のために、全てを捧げてきた。新撰組を活かすのは間違っている」
「そうですよね……。僕が間違っていました。新撰組を運営側に引き入れようなんて……」
心臓を鷲掴みされたかのような気分になる言葉。
これは、作られた映像なのだろうか?
優くんは……本当は新撰組が無くなることを望んでいなかった?
「わかりました。神刀を覚醒されるために、新撰組には潰れてもらいます」
過去?
嘘?
俺は、ただこの距離が遠く感じた。
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